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一般講演 P3-143

河川における外来ザリガニの分布パタンはどの程度流量変動から予測可能か?

西川潮(国立環境研究所),Muriel Gevrey(Univ Paul Sabatier),Sebastien Brosse(Univ Paul Sabatier)

河川生態系における外来種の侵入成功は流量変動の影響を大きく受ける。しかしながら、外来生物は流量以外の物理化学的要因によっても分布が制限され、制限要因としての流量変動の相対的重要性はこれまで明らかにされていない。本発表では、河川の外来ザリガニ類をモデルとして、外来ザリガニの分布がどの程度流量データベースのみから説明できるかを分布予測モデルにより明らかにした。調査地は、USGS (United States Geological Survey) の流量データベースにおいて4年以上の日平均流量データが入手可能な北米西岸の115の河川を予め選定し、流量計の近辺でザリガニ類の捕獲と流量以外の物理化学的要因の測定を行った。調査河川で捕獲された外来ザリガニ3種(Pacifastacus leniusculus, Procambarus clarkii, Orconectes virilis)それぞれについて、アバンダンス(Artificial neural networks)および在不在(Classification trees)を1)フルモデル(流量以外の物理化学的要因+流量変数)および2)流量モデル(流量変数のみ)の2段階でモデリングした結果、いずれの場合も85%以上の精度で分布が説明され、流量変数のみを用いたモデルでも予測制度がきわめて高いことが明らかとなった。

日本生態学会