| 要旨トップ | ESJ54 一般講演一覧 | 日本生態学会全国大会 ESJ54 講演要旨


一般講演 P3-227

チベット草原における植物種数と地上部バイオマスの関係

唐 艶鴻・沈 海花・張 鵬程・周 華坤

草原群落の現存量は植物種数に依存し、多くの場合、種数の増加に伴い現存量が高くなる。しかし、その関係を支配するメカニズムは明らかでない。また、植物群落や環境要因の変化によって、植物種数と群落の現存量との関係が変わることも予想される。チベット高原では、植物種多様性が極めて高くさまざまな草原植物群落が発達している。私たちは、この地域に広範囲に分布する三つの草本群落、Kobresia pygmaea 群落、K. humilis 群落、K. tibetica 群落について、植物種数と地上部現存量との関係を調べた。調査は、それぞれの草原群落で500個の10x10cmのメッシュを設け、各メッシュの植物種数、種別の地上部バイオマスと高さ、メッシュの光環境の測定を行った。その結果、上記の三つの群落はメッシュの植物種数がそれぞれ平均で8、15と3種、最大17,24と9種で、ミクロスケールで高い種多様性が示された。すべての群落では、メッシュの種数の増加に伴い地上部現存量がほぼ直線的に増加したが、一方、メッシュ現存量の最大値は中程度の種数でもっとも高く、種数が高くなると植物地上部現存量の最大値が低下することもわかった。また、メッシュの現存量と種数は、それぞれのメッシュの最大現存量種のバイオマスに高い依存性が存在し、高山草原の生産力と多様性の維持に優占種の役割が極めて高いことが示唆された。さらに、異なる機能タイプの種が現存量に及ぼす影響を検討し、高山草原の現存量と多様性に果たすマメ科植物の役割を評価した。また、光環境変動が植物種多様性と生産力に及ぼす影響を検討した。これらの結果から、チベット高山草原では、植物地上部現存量は、種数、種の機能タイプ、とくに優占種の現存量に大きく依存し、またミクロスケールで種の相互作用によって影響されていることも示唆された。

日本生態学会