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公募シンポジウム S01

ミクロな世界からの新展開: 微生物群集の不均一性が支える物質循環と生物間相互作用

企画者:三木 健(京都大学生態学研究センター)・松井一彰(総合地球環境学研究所)・ 西田貴明(京都大学生態学研究センター)

生態系において微生物は、物質循環過程を駆動する役割と、共生関係を介して大きな生物の環境適応に貢献するという役割を担っている。本シンポジウムでは、微生物群集が持つ不均一性に注目して生態学の進展につながる二つの仮説を提案する。まず、さまざまなスケールでの微生物群集の空間分布に関して4つの話題を紹介し、「グローバルな移動分散や群集構造の空間的な不均一性が、物質循環の維持に貢献している」という仮説を提案したい。次に、微生物が結ぶ共生関係に関する話題を2つ紹介し、「大きな生物間の柔軟で可塑的な相互作用が、共生微生物相や共生強度の不均一性によって維持されている」という仮説を提案したい。

これら2つの仮説を通じて、環境変化に対して素早く応答できる能力を持つ微生物群集が、1)環境変化に対する生態系レベルでの高い適応能力、2)世代時間の長い生物の可塑的な反応の原動力、として生物群集内の多様性の維持に貢献している可能性を探りたい。みなさんいっしょに、顕微鏡の世界から、目に見える生態系を見つめ直してみませんか?

コメンテーター:永田俊・大串隆之(京大生態研セ)

日本生態学会