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公募シンポジウム S13

チョウ類とその生息環境の保全をめぐる問題

企画者:藤井 恒(日本チョウ類保全協会・京都学園大学非常勤講師) 石井 実(大阪府立大学大学院)

日本には240種近いのチョウ類が生息しているが、生息環境の変化等により、衰亡したり地域絶滅してしまった個体群も多く、環境省のレッドデータブックには、25%に相当する62種ものチョウが登載されている。各地で保護・保全活動も行われているが、活動を行う上での問題も少なくない。また、近年、外来種が侵入したり、放蝶されて分布を拡大したり、人為的な放蝶による国内外来種の問題も、各地で報告されている。

チョウ類の保全活動は、特定の希少種の保護活動ではなく、チョウ類も含めた生態系の保全や種の多様性の保全につながものであることを、本シンポジウムでの以下の講演や議論を通じて示したい。

1.日本のチョウ類の衰亡と現状:多くのチョウ類が衰亡している現状とその原因について概説する。

2.チョウ類の保護活動の事例:大阪府三草山で行われた保全の実例を、生態学的なデータに基づいて紹介する。

3.法律や条例をめぐる問題点:保全活動を行うための法整備の現状と問題点について、自治体へのアンケート調査結果に基づいて述べる。

4.放蝶問題:岡山県下で明らかになったギフチョウの放蝶について、その実態を紹介し、問題点を述べる。

5.個体群生態学の理論から:標識再捕獲およびラインセンサス法の理論と技術などについて概説する。

6.外来種問題:神奈川県に定着したアカボシゴマダラについて紹介し、国外・国内外来種の問題について検討する。

7.今後のチョウ類の保全の方向性:チョウ類の保全活動の現状を概観し、今後の保全活動の方向性について、生態学的観点から述べる。

8.総合討論

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