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自由集会 W26

樹木のモジュール構造は繁殖にどう関わっているのか

企画者:長谷川成明(北大・地球環境), 城田徹央(北大・低温研), 関剛(森林総研東北)

樹木は枝分かれを繰り返すことで樹冠を拡張している。そのため、樹冠は基本単位となる枝の繰り返し構造とみなすことができる。この基本単位はシュートモジュールと呼ばれている。シュートモジュールは光合成生産を行う基本単位であると同時に有性繁殖を行う基本単位としても機能する。すなわち、一部のシュートモジュールには繁殖器官が配置される。

繁殖器官を配置された、すなわち繁殖器官をもつシュートモジュールは、もたないシュートモジュールと、樹冠形成の上で異なる役割を果たす。例えば、繁殖器官をもたないシュートモジュールは、枝系が今後伸長していく上で土台となる構造を発達させるのに対し、繁殖器官をもつシュートモジュールは以降の枝系の伸長を抑えてしまうことが多い。そのため、繁殖器官をどのように配置するかによって、樹形は変化すると予想される。

また、資源が有限であることから、繁殖器官をもつシュートモジュールの形成は、間接的に、繁殖器官をもたないシュートモジュールの挙動に制約を与えるだろう。加えて、繁殖器官の生産あるいは成熟には、光合成産物の輸送が必要である。繁殖器官に対して、どのシュートモジュールで生産された光合成産物が、どのように輸送されるかという点にも、目を向ける必要があるだろう。

この自由集会では、これらの問題を踏まえて、樹木のシュートモジュールと繁殖の関係について取り扱った3つの研究を紹介する。その上で、シュートモジュールから樹木個体へのスケールアップ、あるいは生活史戦略の解明といった、将来的な課題に対する研究の方向性について議論していきたい。

集会ウェブページ http://hosho.ees.hokudai.ac.jp/~shasegaw/shoot/

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