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企画集会 T05

繁殖干渉が拓く種間競争の新たな世界 寄主選択から外来種のリスクまで

企画者: 本間淳(京大・昆虫生態), 岸茂樹(京大・生態研)

種間競争のことなどいまさら議論する必要などないと思っていないだろうか?生態系のなかで種間競争は、捕食−被食関係とならんで膨大な種間相互作用の中の基本の「き」なのである。種間競争には、資源をめぐる消費型競争のほかにも個体間相互作用で起きる干渉型競争がある。このとき、ある生態学的現象の背後ではたらく競争のタイプがどのようなものであるのかによって、その帰結は全く異なるものになるはずなのである。

繁殖において、メスが近縁種のオスから受ける干渉を繁殖干渉という(Reproductive Interference: RI)。RIは、消費型の資源競争(Resource competition)に比べてはるかに強力な影響を相手種に与えることがすでに理論的に示されていたにもかかわらず(Kuno 1992)、これまでほとんど注目されてこなかった。

本集会では、まずRIの特徴を他の消費型・干渉型競争と比較しながら紹介する。その上で、室内実験系(競争実験)、野外に見られるパターン(寄主利用、近縁種の分布)、野外で現在進行中の現象(侵入外来種)について、RIに着目した研究例を紹介する。また、資源競争ではうまく説明できなかった雑多な現象や実験結果がRIの観点からより合理的に理解できることを説明する。

本集会の内容は特定の対象生物や研究テーマに限らないものであるが、外来種のリスクや近縁種の分布パターン、寄主利用(specializationとgeneralization)、セクシャルハラスメントなどに関心のある方には、特に興味を持って頂けると思う。

[T05-1] 繁殖干渉による種間競争の特徴 本間淳

[T05-2] 温故知新:マメゾウムシの種間競争をとらえなおす 岸茂樹

[T05-3] 寄主特異性の進化を近縁種間の繁殖干渉で説明する 西田隆義

[T05-4] 外来種問題に潜む繁殖干渉と干渉が無くならない理由 高倉耕一

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