| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PA1-162

釧路湿原北東部M13コアの微粒炭分析

小椋純一(京都精華大・人文)

(本発表テーマは,事情により「微粒炭分類の基礎的研究(1)」に変更されています。)

過去の植生や,それに対する人為などによる火の影響を知る上で,泥炭や土壌に含まれる微粒炭は重要な手がかりになると考えられる。微粒炭の量的変化を捉えることは,そのために不可欠であるが,一方,微粒炭の母材植物を明らかにすることができれば,それは過去の植生や人と植生との関わりなどを考える上で貴重な情報となる。

微粒炭の母材植物を考える方法としては,微粒炭の長軸と短軸の比などから,その起源をある程度推定する方法もあるが,その表面形態を落射顕微鏡により観察するのがより有効な方法であると考えられる。しかし,同じ植物でも,生成される微粒炭の形態タイプはいくつもあり,また,燃焼条件の違いにより,同一植物でも生成される微粒炭の形態タイプの割合が変化する。また,類似した形態タイプの微粒炭を生成する植物が少なくない。そうした理由により,微粒炭の母材植物の特定や推定はなかなか容易ではない

本研究は,そのような困難を伴うことが多い微粒炭分類のための基礎研究であり,類似した微粒炭の形態タイプなどからどの程度母材植物の特定や推定が可能かを考えたものである。具体的には,草本,低木類,広葉樹,針葉樹のそれぞれ数種から生成される微粒炭の形態タイプをもとに,そのことについて検討した。一方,イネ科植物の微粒炭には特有な波形パターンの形態を有するタイプのものがある程度見られるが,その形態タイプの種ごとの違いについても検討した。なお,微粒炭の観察・撮影は,落射顕微鏡(Keyence VHX-500)により,125−250μmクラスの大きさのものについて700倍の倍率で行った。

その結果,微粒炭分類のためのいくつかの新たな知見が得られた。

※ 小椋純一(2007): 微粒炭の母材植物特定に関する研究,植生史研究(15)2,85-95.


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