| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) PC1-348

小学校プールに生息するトンボ幼虫の現状は? 〜都市の自然再生へ向けて〜

森川政人(千葉大院・園芸),小林達明(千葉大院・園芸)

小学校プールには夏季の水泳授業で使用されていない期間にトンボ目幼虫(ヤゴ)を代表に多くの生物が生息している。

2007年5月〜2008年5月に東京都練馬区、港区、渋谷区、千葉県柏市、船橋市、白井市にある計31校で月1回のプール内昆虫調査、2008年8,9月に選定した計8校で飛来昆虫調査を行った。

結果、プール内昆虫調査では5目28種が確認され、その群集構造は水泳授業終了直後の秋季に全体の種数が最も多くなり、ヤゴに関しては、翌年春季のプール掃除前に最も種数が多くなった。また地域ごと、プールごとでも群集構造は異なっていた。

飛来昆虫調査では2目26種が確認され、特にトンボ目ではシオカラトンボ、ショウジョウトンボは千葉県のみでしか観察されなかった。

以上より、プールは周囲の生態系に応じた昆虫相が見られ、自然の池沼同様に季節変動が観察できる環境であること、群集構造が異なる要因として周辺土地利用状況の差異が考えられるが、都市の学校プールでも多様な生物が生息できる空間として十分な機能があり、都市の自然再生に活用できる可能性があることが示唆された。


日本生態学会