| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-122

葉に対する茎の支持効率を高めるための協同パイプモデル

顧令爽,*紺野康夫 帯畜大畜産生命

【研究背景と目的】 篠崎ら(1964)は、単位量の葉とこれに対応する断面をもった茎からなる単位パイプを考え、植物体はこの単位パイプの集合体であるというパイプモデル仮説を提案した(単純パイプモデル)。篠崎ら(1964)は樹木の幹の成り立ちを説明する際に、この単純パイプモデルを拡張して樹形のパイプモデルを提唱した。ここではユニットパイプが集合することによって、より支持効率の良い茎を作る協同パイプモデルを提唱する。

【材料】 バイケイソウは冷温帯に生育する多年生草本である。バイケイソウはパイプ(葉柄)に分解できるので、単位パイプが個々に葉を支える場合と、単位パイプが集合して葉を支える場合の支持効率を比較することが可能である。

【方法】 バイケイソウの外側のパイプ(葉柄)を1枚ずつ取り除き、それぞれの段階で倒伏安全係数(倒伏最大荷重/現存葉重)を求めた。

【結果】 1:バイケイソウは分解すると、個別パイプが自立できなくて、倒伏した。しかし、その集合体である「茎」は自立できる。2:倒伏安全係数の測定結果によって、最も安全係数が大きかったのは、パイプを取らないそのままの時であり、2以上あった。一方、外側のパイプを取ると、安全係数はしだいに小さくなり、4枚のパイプをとると自立できなくなった(安全係数<1)。3:自立できない時、パイプの長さを短くすると自立するようになる。

【考察】 1:自立できないパイプでも、集合すれば自立できることが分かった。支持能力も高くなった。これに基づき我々は協同パイプモデルを提唱する。2:外側にあるパイプはより高い支持能力を担うことが明らかになった。3:内側のパイプの主な機能は通導機能かもしれない。


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