| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P2-127

摂食者群集のかく乱による栄養段階間転換効率の変化

*真野浩行(環境研・環境リスク),田中嘉成(環境研・環境リスク)

湖沼の生物群集に対する人為的な攪乱はその生物群集が関係する湖沼の生態系機能を低下させる可能性がある。人為的な攪乱による湖沼の生態系機能の影響を評価するために、生物群集の攪乱による生態系機能の変化量に影響する要因を明らかにすることが必要とされる。

殺虫剤などの化学物質により生態系機能に関係する群集が攪乱される場合、群集を構成する生物種の化学物質に対する感受性は機能反応形質として生態系機能の変化に関係することが考えられる。群集が感受性の高い生物種で構成されている場合、種数や個体数の大きな減少が引き起こり、結果として生態系機能が大きく減少することが考えられる。一方で群集が感受性の低い種で構成されている場合、種数や個体数はあまり減少せず、生態系機能の変化は少ないかもしれない。そこで、構成種の感受性と殺虫剤による生態系機能の変化量の関係を調べるために、ミジンコとメダカを用いて室内実験系を構築し、実験を行った。本研究では、生態系機能として摂食者であるミジンコから捕食者であるメダカへの栄養段階間転換効率に着目した。殺虫剤に対して感受性の異なるミジンコを用いて、感受性の低いミジンコ種で構成された群集、感受性の高いミジンコ種で構成された群集、感受性の低いミジンコ種と感受性の高いミジンコ種で構成された群集を作成し、それぞれについて殺虫剤による栄養段階間転換効率の変化量を調査した。栄養段階間転換効率はメダカのバイオマス増加とミジンコの2次生産量から推定された。現在得られた実験結果から、ミジンコの殺虫剤に対する感受性と栄養段階間転換効率の関係を考察する。


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