| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-050

エコロードにおける動物移動施設の効果・検証

*園田陽一,武田ゆうこ,松江正彦(国土交通省国総研)

エコロードにおける動物移動施設の利用種,利用頻度等をモニタリングし,施設の構造,生息環境調査とにより野生動物の動物移動施設に対する選好性とその要因を明らかにすることを目的とする。

(1)事例調査

全国の道路横断施設を設置する路線から北海道12路線,東日本(近畿以北)29路線,西日本(近畿以南)49路線,沖縄・島嶼9路線を選定し,保全目標種,設置施設等について調査を行った。その結果,北海道はエゾシカを対象とした施設が最も多く,次いでエゾモモンガやエゾリスを対象とした施設が多い。本土では多様な種を対象としているため多様な施設が設置されているが,ニホンリスの施設は2つと極めて少ない。沖縄・島嶼では,ヤマネコ,オカヤドカリ等の甲殻類等を対象とした施設が多い。

(2)道路横断施設の野生哺乳類のモニタリング調査

事例調査の中から斜里エコロード(北海道),豊富BP(北海道),甲子道路(福島),東富士五湖道路(山梨県),江津道路(島根県)を調査対象地として選定し,赤外線センサーカメラを道路横断施設に設置した。

(3)施設周辺の生息種確認のための哺乳類相調査

主に痕跡調査により種を同定し,補足的に赤外線センサーカメラを獣道に設置した。また,生息環境調査として,各路線から250mBuffer圏内の相観および林床植生の分類を行った。相観植生は,航空写真および既存の現存植生を用いて相観植生図を作成し,現地踏査により確認・補正および分類した。林床植生は,林床植物の構造により高さ0.5m未満,0.5〜1.0m,1.0〜2.0m,2.0m以上の4つに分類した。

(4)結果と考察

本発表では,豊富BP,東富士五湖道路,甲子道路における道路横断施設の利用種と道路横断施設の選好性について,施設の構造,周辺植生との関連性について解析した結果について発表する。


日本生態学会