| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-114

野辺山高原における希少種および外来植物の分布と立地環境条件との関係

*宮原有加,大窪久美子(信大・農)

八ヶ岳山麓に位置する野辺山高原ではサクラソウやアサマフウロ等の希少植物が分布しており,本地域における生物多様性を維持するためには,これらの自生地を保全する必要がある。一方,本地域ではハルザキヤマガラシ等の外来植物の侵入や定着による希少植物への影響も懸念されている(佐野・大窪 2009)。そこで本研究の目的は希少植物および外来植物の分布状況を把握し,両者や立地条件との関係性を解明することとした。

調査地域は信州大学農学部附属AFC野辺山ステーションと隣接する矢出川湿原とした。対象種は希少在来種としてはアサマフウロ(ステーションのみ)とサクラソウ,外来種としてはハルザキヤマガラシおよびメマツヨイグサ,オオブタクサ,アラゲハンゴンソウ,ヒメジョオン類,オオキンケイギク(矢出川湿原のみ)とした。分布調査は2009年夏季から冬季におけて行い,サクラソウについては(佐野・大窪 2009)のデータを参考にした。3次メッシュを基準とした50mメッシュを調査地域に設定した結果,野辺山ステーションでは43メッシュ,矢出川湿原では11メッシュで計54メッシュについて調査した。現地踏査をしながら範囲内にある対象種の優占度を7段階,アサマフウロについては個体群の規模を5段階で評価,記録した。また携帯型GPSレシーバーを用いて各種個体群の分布地点を測位した。立地環境調査は分布調査の結果を踏まえ,希少種および外来種の多い調査区をそれぞれ30箇所選択し,斜面方位・傾斜角を測定した。同時に周辺の土地利用状況についても記録した。

野辺山ステーションで出現率の最も高かった外来種はハルザキヤマガラシで90%だった。ついでメマツヨイグサやヒメジョオン類が76%,72%と高かった。アサマフウロの出現したメッシュの割合は全体の65%で,ハルザキヤマガラシとの分布の重複率は55%と高かった。


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