| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P3-285

ミミズ導入が農地の小型節足動物相と窒素無機化に与える影響

*廿楽法, 金子信博, 三浦季子, 荒井見和(横浜国大院・環境情報), 小松崎将一(茨城大・農)

従来の農業では、農地を耕すことによって、農地を膨軟にするとともに、雑草防除や残渣の埋込み処理を行っていた。しかし、土壌粒子を細かくすることが、風食や土壌流失、耕盤の形成などの問題を起こしていた。また、土壌生物にとっても、耕すことによる撹乱の影響は大きいと考えられる。さらには農業機械などを始めとする土壌の踏み固めは、植物、土壌動物、微生物にまで影響することが指摘されている。そのような中で、近年、不耕起や自然農法などの栽培法が注目されるようになった。このような栽培法を行う農地では生物の活動を利用することによって作業の効率化を図っていると考えられる。すなわち、ミミズのような大型土壌動物を利用することによって、耕起や有機物のすき込みを代替している。ミミズは有機物分解の促進による物質循環の改善、根や菌根菌への影響、土壌物理性の改変などの効果がある生態系改変者に分類される大型土壌動物であり、経験的にミミズがいる畑は良い畑であると言われてきた。また、ミミズが他の土壌動物の密度や組成に影響することが指摘されており、生物多様性の観点からもその役割は重要であると考えられる。そこで、ミミズによる農地への影響を検証するために、茨城大学農学部附属フィールドサイエンスセンター不耕起・カバークロップ圃場において、ミミズ導入区と非導入区で小型節足動物の採集を行った。両区で土壌の容積密度、含水率、全炭素、全窒素を測定し、窒素無機化速度を算出した。これらから、ミミズ導入が農地の小型節足動物相と窒素動態に与える影響について報告する。


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