| 要旨トップ | ESJ57 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


シンポジウム S14 -- 3月17日9:00-12:00 K会場

新世代遺伝手法が拓く生態学

企画者: 田中健太(筑波大・菅平セ), 清水健太郎(チューリッヒ大)

 次世代DNAシーケンサーや、マイクロアレイを応用した大量ジェノタイピング法など、遺伝学的手法は近年めざましい発展を遂げている。それと歩みを並べて、これまではモデル生物でしかできなかった遺伝学的解析が、もっと分類学的に多様な、生態学に「おもしろい」種でも行われるようになってきた。生態学的な相互作用や生態系の挙動を遺伝子のレベルで理解する試みも増えており、生態学・進化生物学の中でも急成長中の研究分野となっている。これらの新手法とその応用例を紹介し、その生態学における可能性を探ることがこのシンポジウムの目的である。

 はじめに清水が新世代遺伝手法の歴史的背景と意義を紹介する。次に森長氏が、エコタイプ分化や形態分化に、ゲノム変異と遺伝子発現を対象としたマイクロアレイを役立てた例、北野氏が、種分化に重要な遺伝子や適応に効いている遺伝子の解析にSNPアレイと次世代シーケンサーを活用した例を示す。津田氏は、次世代シーケンサーで微生物群集の変動を調べ、さらに機能遺伝子の変動様式を研究した例を紹介する。西村氏は、手法から目標に向かうトンネルの出口側から、表現型可塑性という生物学的目標へのアプローチがアレイなどの新手法によってどう変わりうるのかを論じる。これらの話題を田中が振り返り、新世代遺伝手法が、生態学の何に、どんな場合に活かせるかの総括らしきものを試みる。最後に十分な時間を取り、新世代遺伝手法の可能性と制約について会場との間で活発な討論を行いたい。

[S14-1] 新世代遺伝手法の歴史的背景と進化学・生態学へのインパクト 清水健太郎(チューリッヒ大)

[S14-2] シロイヌナズナ近縁種の適応的「分化」:遺伝子発現アレイとゲノム多型アレイ 森長真一(東大・総合文化)

[S14-3] トゲウオの種分化と適応の遺伝子: SNPアレイから次世代シーケンサーまで 北野潤(東北大・院生命科学)

[S14-4] 有害化学物質汚染土壌における微生物集団のメタゲノム解析 津田雅孝(東北大・院生命科学)

[S14-5] 『融合』か『手法の導入』か?表現型可塑性の進化生態学が新しい遺伝的手法に出会う。 西村欣也(北大・水産)

[S14-6] 新世代遺伝手法を生態学にどう活かす? 田中健太(筑波大・菅平セ)


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