| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


企画集会 T01-5

総括

*森 照貴(北大・環境科学院),石川 尚人(京大・生態研)

生態系同士のつながりを考える上で、境界面で生じる現象に対しての理解が重要であることは、近年多くの研究で指摘されている。隣接する生態系との境界が明瞭な河川生態系では、流下過程での物質やエネルギーの流れと生物群集構造を概説した河川連続体仮説のような枠組みで生態系間の相互作用が捉えられてきた。しかし、河岸の景観要素の影響や流下に伴って生じる生物学的プロセスなどは、実証的に示されてこなかった。そのため、生態系間の境界面でどのような現象が起こっているのかについての知見は不十分なままである。

本企画集会では、河川集水域の中で流域(陸域−水域)と流程(上流−下流)という2つの空間軸に着目し、生物群集と物質循環の両方の側面から景観スケールでの生態系同士のつながりを理解することを目指す。

本講演では総括として、実証研究に基づいた各講演を通して、景観スケールで見出される次の問いに答えていく。

1. 河岸の景観要素や流下過程での生物学的プロセスを考慮することで、河川連続体仮説とは異なる現象が見えてくるのか?

2.滞留時間の短い河川では、境界面で生じるプロセスがカスケード的に生態系間を次々に伝播していくのか?

これらの問いに答えることで、河川集水域における生態系同士のつながりに関する新しい枠組みを提示していきたい。


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