| 要旨トップ | ESJ57 企画集会 一覧 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


企画集会 T28 -- 3月18日17:30-19:30 H会場

日本列島内の隠れた遺伝的分化

企画者: 長太伸章(京都大・理)

近年の分子系統地理学の発展によって様々な分類群で遺伝的構造が解明され、分布の変遷や地形・地史の影響も明らかにされてきた。 さらに分子系統地理によって近縁種間や種内の集団間といった近縁な系統関係の推定が可能なため、保全生態学や進化生態学などにおいても有用なツールとして応用されつつある。一方でサンプリングの困難さや労力の問題もあり、国内における普通種などの広域分布種では精度の高い系統地理研究はあまり行われてこなかった。

日本列島は南北に長い上に複雑な地史を経験しており、過去の環境変動は多くの生物の分布域だけでなく生物相も影響されてきたはずである。これらの地史的要因の影響を推定するためには複数の種で共通なパターンを探る比較系統地理が非常に重要であり、広域分布種は有効な比較対象となる。そこで本集会では日本国内に広く分布する様々な分類群の分子系統地理研究を通して、国内における隠れた遺伝的分化を紹介する。

コメンテーター:奥山雄大(科博)「どうすれば面白くなる?外から見た生物系統学」

[T28-1] コイ科の淡水魚カマツカにおける大きく分化した系統とその二次的接触 *富永浩史(京都大・理),中島 淳(九州大・工), 渡辺勝敏(京都大・理)

[T28-2] 第四紀の気候変動がツキノワグマの遺伝構造に与えた影響 *大西尚樹(森林総研・東北),鵜野レイナ(慶大・先端生命),石橋靖幸(森林総研・北海道),玉手英利(山形大・理),大井徹(森林総研)

[T28-3] 温帯林構成樹種ツリバナでみられる遺伝的分化のパターンとその歴史的成立過程 岩崎貴也(首都大・牧野標本館)

[T28-4] 複数の塩基配列データに基づくマイマイカブリの系統地理 *長太伸章(京都大・理),曽田貞滋(京都大・理)

[T28-5] 日本産樹木の系統地理学再考 津田吉晃(ウプサラ大・進化生物学センター)


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