| 要旨トップ | ESJ58 企画集会 一覧 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


企画集会 T22 -- 3月11日 14:15-16:15 I 会場

生態系を時間軸でとらえる:炭素循環における遅れ現象

企画者: 陀安一郎(京大・生態研セ), 杉本敦子(北大・地球環境)

陸上生態系の炭素循環は植物による炭素固定に始まる。固定された炭素は植物バイオマスとして蓄積された後、リターとして土壌生態系に入る。巨大なプールである土壌炭素は、呼吸によって大気に戻るほか、分解系生物に利用される。さらに、炭素の一部は河川を通って海域へと運ばれる。炭素循環のそれぞれの過程における時間的遅れ(タイムラグ)を明らかにすることは、地球環境変化に対する生態系の応答の解明に不可欠である。また近年、時間的遅れを持った炭素の利用は生態系の食物網構造にも見られることが明らかになってきた。

本企画集会では、安定同位体比や放射性炭素14などの手法を利用して炭素動態をトレースし、生態系が生み出す様々な時間的遅れと、物質循環を支える生物間の相互作用を解明する方法について議論する。

[T22-1] 時間軸からみる生態系の構造 *陀安一郎(京大・生態研セ),杉本敦子(北大・地球環境)

[T22-2] 樹木の種子生産に貯蔵炭素は必要か?−放射性炭素分析法を用いた検証研究− *市栄智明,吉田昌平(高知大・農),五十嵐秀一(愛媛大院・連合農),田中憲蔵,正木 隆(森林総研),陀安一郎(京大・生態研セ)

[T22-3] 年輪炭素同位体比を利用した炭素循環変動解析 鄭 峻介(北大・地球環境)

[T22-4] Delay of ecosystem response through nitrogen cycling in Siberian Taiga *Popova A., Sugimoto A., Tei Sh. (Hokkaido Univ.), Tokuchi, N. (Kyoto Univ.), Maximov, T.C. (IBPC SB RAS)

[T22-5] 植生遷移過程における食物網炭素起源の変化 原口岳(京大・生態研セ)

[T22-6] 陸上生態系と河川有機物動態 山下洋平(北大・地球環境)

[T22-7] 千年滞留した炭素が現在の河川食物網を支える~C-14天然存在比による証明~ 石川尚人(京大・生態研セ)


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