| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨
ESJ59/EAFES5 Abstract


一般講演(口頭発表) D2-13 (Oral presentation)

光環境が数種の半自然草地構成種の乾物生産量に及ぼす影響

山田晋(東大・農), 根本正之(農大・造園)

植植生復元における目標植生の回復は,復元地における復元目標種の残存・移入・導入を通した種子の存在や,目標種の種子の発芽,発芽した幼個体の成長,成長個体の存続などのプロセスを経て実現される。半自然草地や管理された雑木林はしばしば植生復元対象とされる立地だが,上記項目のうち,植生復元時の群落形成過程において個々の目標種がどのように成長していくかはあまりわかっていない。そこで,種間競争能の重要な指標の一つであり,個体の成長可否を左右する光環境に着目し,群落形成過程において光環境に対する個別種の生育パタンを収集した。

植物社会学におけるススキクラス標徴種(ツリガネニンジン,ノハラアザミ,オガルカヤ,オミナエシ)と,同様の立地に多いトダシバ,オトギリソウ,ユウガギクを試験対象とした。春季に播種した個体を,個体ごとに1/5,000aワグネルポットで育成した。播種後1生育期間の乾物重,草高,到達した生育ステージを,全天,相対日射量50%,25%,10%で比較した。

全7種について,全天条件と相対日射量50%における地上部・地下部の乾物重の有意差は認められなかった。オガルカヤ,トダシバ,ユウガギク,オミナエシの相対日射量25%における乾物重は,より高い日射条件より有意に小さかった。うち前2者の相対日射量10%における乾物重は,同25%におけるそれよりさらに小さかった。ノハラアザミ,ツリガネニンジン,オトギリソウについては,相対日射量10%における乾物重が,同25%以上の乾物重と比較して有意に小さかった。オトギリソウ,トダシバ,オガルカヤ,ユウガギクは,1生育期で生殖成長ステージに達した。ツリガネニンジン,ノハラアザミは根出葉がみられたが地上茎は形成されず,生育期間を通して草高が10cm以下と低かった。


日本生態学会