| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-156 (Poster presentation)

同所的に生育するサクラ属2種における花粉を介した遺伝子流動の違い及びそれに影響を与える要因の評価

*松本雄太(岐大院応生),鶴田燃海(岐大応生),向井譲(岐大応生)

日本には、9種のサクラ野生種(バラ科サクラ属:Cerasus)が自生している。分布域は種によって異なるが、エドヒガン、ヤマザクラのように分布域が広く、重なる種も存在し、同所的に複数の近縁種が生育している場合もある。しかし、これまでのサクラ及びその近縁種の遺伝子流動の研究は単一の種を対象としたものが多く、遺伝子流動を種間で比較した研究例は見られない。遺伝子流動は個体間距離、個体間での開花フェノロジー、個体サイズなどの要因によって影響を受ける。また、サクラは種間で開花フェノロジーや分布の仕方などが異なる事も報告されている。そのため、種によって遺伝子流動に影響を与える要因とその影響力が異なる事が考えられる。そこで本研究では同所的に生育するエドヒガン、ヤマザクラにおける遺伝子流動に影響を与える要因を比較し、種による要因とその影響力の違いの解明を目的とした。

両種が混在して生育する滋賀県高島市マキノ町におよそ25haの調査地を設定した。調査地内にはエドヒガン38個体、ヤマザクラ123個体の他、キンキマメザクラ24個体のサクラが生育している。核SSRマーカー6座を用いて、2011年に試験地内のエドヒガン7個体、ヤマザクラ8個体から採取した計449(20~48/個体)の種子の父性解析を行い、遺伝子流動を両種で比較した。また、目的変数にある花粉親由来の種子数、説明変数に遺伝子流動に影響を与える要因として、個体間距離、開花フェノロジー、個体サイズ、周辺の同種個体密度を用い、一般化線形モデルを構築することにより、これらの要因が遺伝子流動に与える影響についての検討を行う。


日本生態学会