| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-074 (Poster presentation)

野外温暖化実験におけるミズナラの個葉ガス交換特性に対する温度の影響

*鎌倉真依(奈良女大・共生セ)・村岡裕由(岐大・流域圏セ)・奥村智憲(京大・エネ科)・小杉緑子(京大・農)

2011年6月に岐阜大学高山試験地で開始された、冷温帯落葉樹のミズナラ (Quercus crispula) を対象とした野外温暖化実験において、OTCC (open top canopy chamber) 区とコントロール区の個葉ガス交換特性を調べた。OTCC区とコントロール区の葉温を比較したところ、ガス交換測定日(晴天日)の日中の葉温はOTCC区の方が約3.5℃高かったことを確認した。

温暖化処理1年目の2011年8月には、飽和光 (1500 μmol m-2 s-1) における個葉光合成速度、気孔コンダクタンス、光化学系IIの量子収率 (ΔF/Fm')、光合成電子伝達速度 (ETR) はOTCC区とコントロール区の間で違いが見られなかったのに対し、温暖化処理2年目の2012年8月には、すべての項目においてOTCC区の方がコントロール区より高い値を示した。2012年の結果について、8:00-10:00の測定値を用いて、飽差 (VPD) と気孔コンダクタンス、葉温と見かけの最大炭酸同化速度 (Vcmax*) またはETRとの関係をプロットしたところ、同じVPDや葉温においてOTCC区の葉はコントロール区の葉よりも活性が高くなっていることが示唆された。また、本発表では、OTCC区とコントロール区の葉の気孔密度や個々の気孔開度およびその分布についても比較考察する。


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