| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨
ESJ60 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-081 (Poster presentation)

ヒサカキ(Eurya japonica)におけるsunとshade個体群間分化 ー葉の形態と光合成

*見塩昌子, 川窪伸光(岐阜大・応生)

ヒサカキは、暖温帯の林床、林縁、伐採跡地など、幅広い光環境に生育する。また種子は、果実食の鳥類により異なる環境に広く散布される。しかし、種子の生重量は1mgほどしかなく、発芽初期の小さな実生は、蒸散のおこりやすい日なたにおいては水不足の、日陰においては光不足のストレスを被りやすいと考えられる。著者らは、様々な環境に散布された種子が、異なる環境の選択圧下で発芽し,生長し,成個体が生き残ってきたと予想し、光環境の異なる隣接個体群間で生じている葉の形態と光合成特性の分化を実験的に解析した。

2007年5月に、岐阜市近郊の二次林の林床に生育するヒサカキ6個体(shade個体群)と,隣接する伐採跡地および林道沿いに生育する9個体(sun個体群)から,1個体あたり6本の挿し木を作成した。岐阜大学の実験圃場において、野生1個体に由来する6本の挿し木のうち、3本は裸地条件下で、残りの3本は遮光条件下(相対光量子密度18.5%)で栽培した(栽培株と呼ぶ)。2010年6月に、それらの栽培株群について、葉の形態と光合成特性を調べた。

その結果,ヒサカキは,sun/shadeの由来に関わらず,栽培光条件に反応して葉の形態と光合成特性で著しい可塑性を持つことが明らかになった。しかし,その可塑性の内容は,sun/shadeの由来で異なり,shade個体群由来の栽培株群は、葉身が薄くて気孔密度が高く、一方,sun個体群由来の栽培株群は、気孔コンダクタンスが同等であるときの葉面積あたりの光合成速度が高かった。ヒサカキは,林床と伐採跡地という極端に光環境の異なる隣接生育地間で,葉の形態と光合成特性における異なる組み合わせを分化させていると考えられた。


日本生態学会