| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA2-146 (Poster presentation)

明治大学黒川農場自然生態園におけるサインによる環境教育手法の提案

*石井春花,倉本宣(明大・農)

近年、地球環境の悪化により環境教育に対する関心が高まりを見せ、環境教育に適したフィールドとして多面的な機能を持つ里山が注目されている。明治大学は、里山地域である神奈川県川崎市麻生区黒川に農場を開場し、農場内には里山の自然を残した自然生態園が設置されている。一般開放されている自然生態園は、24時間メッセージを発信することができるサイン(解説版)が環境教育の手法として適していると考え、本研究では自然生態園における環境教育としてのサインのあり方を考察した。

自然生態園来園者と明治大学農学部の学生に対して、求められるサインの内容について調査を行った。来園者に対してはアンケート調査行い、ウシハコベを対象とした3種類のサイン(知識与え型・中間型・気づき与え型)を見せ、1つを選択してもらうという方法をとった。学生に対しては、パズル形式でサインを作成してもらった。来園者に対して使用した3種類のサインを、それぞれ見出しと文章3つに分けてパズルのピースとした。ウシハコベの比較対象として、学生を半分に分けてカニノツメでも同様な調査を行った。

両調査ともに、中間型が最も多く支持される結果となった。見出しには、興味を持ってもらえるような一言と生きもの名を入れ、内容は情報量を3つ程度とし、専門用語は使わずに身近な言葉で説明をし、好奇心をくすぐるような雑学を入れることで、たくさんの人に支持されるサインになると考えられる。しかし、性別や年代、自然に関する知識量の違いによって、知識与え型や気づき与え型にも需要が生まれたため、より多くの人に対応できるようにするには、知識与え型や気づき与え型も必要であると考えられる。また、学生に対する調査からは、サインを作成すること自体が環境教育として有効であることが示唆された。


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