| 要旨トップ | ESJ62 企画集会 一覧 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


企画集会 T09 -- 3月21日 9:30-11:30 F会場

もっと面白い動物―植物相互作用研究:今後の新展開を考える

企画者: 山尾僚(九大・理・生物), 内海俊介(北大・FSC)

動物と植物の生物間相互作用は、捕食—被食系と共生系に大別される。20世紀、両者はそれぞれに生態学と進化学の発展において中心的な役割を果たし、実証研究から得られた知見がそれぞれの分野の枠組みそのものの発展に重要なインパクトを与えてきたと言っても過言ではない。その一方で、捕食-被食系と共生系の研究者間の交流は少なく、両者は乖離して展開されてきた傾向が強い。その結果、捕食-被食系は、食物網構造や個体群・群集動態などの群集生態学的側面、共生系は共進化や最適理論、適応放散といった進化生態学的側面というように扱う問題についての指向性も異なる。そして現在、テクノロジーや統計手法の革新と共に生態学の研究アプローチが大きな変化を迎える中で、地道で個別具体的な動植相互作用を扱う研究は細分化したまま、全体としては盛り上がりに欠けてしまっているように見える。このことは、捕食-被食系と共生系がいまだ真剣に統合的な枠組みの中で研究されていないこととも無縁でないだろう。

本企画集会では、共生系から植物の共生者認識(山尾)と共生者の行動(鈴木)につて、捕食—被食系からは、植物間コミュニケーション(塩尻)と生態―進化フィードバック(内海)について実証研究アプローチの立場からそれぞれの分野を概観しつつ最新の研究事例について話題提供する。さらに、理論研究者の立場からブレイクスルーが期待される課題や新たな概念について論じていただく。それらをもとに、今後の動植相互作用研究の新展開について会場全体で議論すると共に、捕食被食系と共生系研究者の交流を活性化するための企画も考案したい。

[T09-1] 植物における共生者認識と表現型可塑性  *山尾僚(九大・理・生物)

[T09-2] 昆虫のリターン率の種間差が植物の進化にどう影響するのか?:個体の行動からネットワークをつなぐ  *鈴木美季(筑波大院・生命環境)

[T09-3] 植物間コミュニケーションの進化を考える  *塩尻かおり(京都大学白眉センター)

[T09-4] 植物の防衛理論から植食者群集の生態ー進化動態を紐解く  *内海俊介(北大・FSC)

[T09-5] 植物vs植食者の情報合戦と、進化動態への影響  *入谷 亮介(九大・理・生物)


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