| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-023 (Poster presentation)

生体インピーダンス方を用いたクローナル植物の地下接続の測定

*本間航介 (新潟大・農・フィールド科学), 元永佳孝(新潟大・農)

地際萌芽やルートサッカーなど、個体の接続性を確認するのが困難な樹木において、これを非破壊で探査するための方法として、体脂肪測定などに用いられる生体インピーダンス法を適用し、その可能性について調べた。

地下で複数幹が接続する萌芽性樹木において、2本の萌芽幹の間に微弱な交流(1kHz-100kHz)を流し、オシロスコープを取り付けてシグナル計測を行った(4電極法)。また、萌芽性樹木と土壌において、LCRメーターを用いたインピーダンスの測定を行った。実験材料には園芸用イチジク(Ficus benjamiana)とハナイカダ(Helwingia japonia)を用いた。

土壌に電極を設置して土壌水分量を変えながらインピーダンスを計測したところ、体積含水率4.8%-12.5%の間ではインピーダンスは低く保たれ、周波数による変動も少なかった。含水率が3%になると、インピーダンスは急激に上昇し、高周波になるほどインピーダンスが下降した。

樹体の内部インピーダンスは土壌のそれに比べて一桁高く、周波数の増加に伴い低下した。樹体内から地面への接地インピーダンスは、土壌の値と樹木体内のそれの中間的な値となり、やはり周波数の増加に従って低下した。

一方の萌芽幹から他方の幹に流れる交流は、レベルは大幅に低下するものの識別可能であり、地面へのリーク電流は樹体内を流れる電流の1%以下に抑えられていた。様々な周波数で試したところ10kHz-25kHz程度の周波数で、10V程度の電圧をかけた場合にきれいなシグナルが得られ、電流による萌芽個体の非破壊計測の可能性があることが明らかになった。


日本生態学会