| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-162 (Poster presentation)

UAV-SfMによる新植地の樹高計測

*松浦俊也(森林総研),中尾勝洋(森林総研),佐野真琴(森林総研),キョウ浩(筑波大院)

皆伐後の新植地を低コストに管理するには、苗木の成長や雑草木との競合関係の面的かつ効率的な把握が求められる。見晴しのよい皆伐・新植地では、UAV(ドローン)空撮しやすく、低高度からの高解像度画像により、その微細な特徴を把握できると期待される。

そこで、UAV空撮画像を用いたSfM(Structure from Motion)により、スギ新植地の3次元点群データ、デジタル表層モデル(DSM)、オルソ空中写真を生成し、苗木や隣接林分の樹高計測や、苗木と雑草木との高さ方向の競合関係の定量化を試みた。UAVにはマルチコプターのPhantom II(DJI社)を用い、アクションカメラのGoPro HERO4 Silver editionを装着して直下撮影した。SfMソフトウェアにはPhotoScan Professional(Agisoft社)を用いた。樹高計測では、地上点群を抽出・補間して生成したデジタル地形モデル(DTM)とDSMとの差分、3次元点群データのオンスクリーン計測、現地計測の3つを比較した。苗木と雑草木との競合関係の把握では、下刈り前後の撮影画像から生成した2時期のDSMそれぞれについて、各ピクセルの周囲との標高差を用い、苗木の周囲からの出張り具合を定量化した。

その結果、地上部が見えやすい下刈り直後は、十分な密度の地上点群を捉えられれば樹高を推定しうることがわかった。また、DSMにおける周囲との標高差等を用いることで、苗木と雑草木の高さ方向の競合関係を定量化でき、下刈りにより競合が緩和される様子を捉えられた。


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