| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-459 (Poster presentation)

青海チベット高原における長期研究:夏放牧区における群集レベルのCO2フラックス特性

*廣田充(筑波大・生命環境系),西村貴皓(筑波大・院・持続環境学),万銘海(筑波大・院・環境科学),杜明遠(農環研),李英年(中科院・西北高原生物研究所),唐艶鴻(国環研)

広大な青海チベット高原には、植生の異なる様々な草原が広がっている。これらの草原は、古くから家畜の放牧地や農耕地として持続的に利用されているが、近年の土地利用変化や地球温暖化等の環境変動の影響による草原生態系の劣化および荒漠化が懸念されている。これまでの多くの研究によって、青海チベット高原が大気CO2の主要な吸収源であること、東アジアの給水塔として機能していること、さらには生物多様性のホットスポットであることが明らかにされており、土地利用変化と地球温暖化が青海チベット高原に及ぼす影響の解明とその適応策が喫緊の課題である。

発表者らは、2002年以降この草原生態系において放牧の影響に関する様々な研究を行っている。2006年には、夏放牧地における放牧の影響を解明するために青海チベット高原の北限である祁連山脈の斜面に広がる夏放牧地において4つの標高(3600m,3800m,4000m,4200m)に禁牧区(各20m x 5m)を設置した。以降数年おきに禁牧区と対照区において、特に炭素循環に関わる生態系の構造と機能に関する調査を行っている。今回の発表では、禁牧区設置後9年目の2015年8月に行った群集レベルのCO2フラックス測定の結果を報告する。我々は、開発した携帯型軽量チャンバー(直径30cm x高さ最大45cm可変式)と寒冷紗を用いて光強度を調整しながら、現場での群集レベルの生態系呼吸速度、純CO2交換速度、および光合成速度を測定した。


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