| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-F-219  (Poster presentation)

タイワンハブの駆除効果と課題-モデル実験4年間の結果-

*寺田考紀(沖縄県衛生環境研究所), 松井創(沖縄県公衆衛生協会)

沖縄島に定着している外来種のタイワンハブは、近年では毎年のように沖縄島内での咬傷事故が発生している。県や市町村では通常より取り組まれているハブ対策の一環として、ハブ捕獲器(トラップ)を用いた防除作業等が行われているが、各市町村役場によってタイワンハブ対策に関する考え方が異なるためか、捕獲器の保有数や運用数、担当職員の数や経験なども市町村により様々で、捕獲数にも差が生じている。とはいえ、これまでに多くの個体数が捕獲されており、その捕獲情報から生息状況が少しずつ明らかになっている。沖縄島におけるタイワンハブは、名護市の東側から今帰仁村の一部と本部町の一部を含む地域(名護集団)、恩納村南部とその周辺地域(恩納集団)、名護市喜瀬から恩納村名嘉真にかけた地域(喜瀬集団)に分布しており、沖縄島内の離れた3つの地域にタイワンハブが生息している。
外来ハブ類の効率的な駆除手法を開発するには、野外で実際に駆除を目指した捕獲努力を行い、その努力量や駆除効果を検証していく必要がある。2013年度からモデル地域5地区で、ハブ捕獲器を用いてタイワンハブ駆除実験を開始し、2015年度からは4地区(名護市大北、名護市為又、名護市喜瀬~恩納村名嘉真、本部町伊豆)に絞り込み駆除実験を継続した。各地区とも、4年間では捕獲率の大きな減少は見られなかったが、大型個体の捕獲割合が減少しており、わずかではあるが駆除の効果が出てきた可能性がある。また、体長組成の地域差を確認しているが、その原因については不明である。


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