| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-11  (Poster presentation)

孤立林内における2つのため糞場から見たタヌキの食性と行動~練馬区武蔵学園をフィールドとした調査~

*飯島昌弘(武蔵高等学校)

孤立林内における2つのため糞場から見たタヌキの食性と行動
~練馬区武蔵学園をフィールドとした調査~
私立武蔵高校1年 飯島昌弘
 孤立林である武蔵学園(東京都練馬区)にはホンドタヌキの生息が確認されており、学園内に複数のため糞が確認されている。本研究は学校というあまり食性が明らかになっていないフィールドに生息するタヌキを調べるために行った。本研究の目的は武蔵学園に生息するタヌキの食性を調べ、そこから行動を推測することである。2016年4月に学園内の2つのため糞から乾燥した糞塊を採集した。これらの糞塊を分解、残渣をできる限り同定した。その結果、種子、鳥類の羽、昆虫の破片、人工物などが出てきた。最も多く出現したのは種子で、7種類確認できた。そのうち同定できたのはエノキ、マメガキ、センダン、ムクノキ、アマガキ、シブガキの6種類であった。これら6種類のうちカキノキ以外の4種類は学園内に複数本確認できた。また、これらの種子の結実期に基づくと今回採集した糞塊は前年の秋から冬にかけてされたと分かった。そして鳥の羽も多く出現したことから鳥類が秋から冬にかけてのエネルギー源となっていると推測された。これらの鳥類はどこで採餌されたか定かでないが学園内に多くの死骸が確認されていることから学園内で食べられている可能性が考えられる。本研究では昆虫の破片は種子、鳥の羽に比べて少なかった。これは種子から推測した糞のされた時期と整合性が取れている。学園内に生息しているタヌキがため糞を使用しているとすると本研究から武蔵学園に生息するタヌキは秋口から初冬にかけての食料を学園内に存在するものの多くが占めていることが分かり、そこから学園内で採餌の多くを行っていることが考えられる。また学園内に確認されなかったカキノキが確認されたことから確実に学園内外を行き来していることも明らかになった。


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