| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-51  (Poster presentation)

観音山のニッコウキスゲについて

*平川真緒, 伊藤彩海, 中村紫織(埼玉県立熊谷西高等学校)

 本研究は埼玉県にある観音山の調査及びニッコウキスゲ属の植物を研究している。観音山にはニッコウキスゲ、ノカンゾウ、ヤブカンゾウの3つとニッコウキスゲ、ノカンゾウの雑種が生育している。
 これらの3種が観音山に生育していると先行研究の論文されていたため、採取をし、学校で育て野外でそれぞれが受粉するのかを調べた。花期が重ならないことから、受粉させるのは不可能ということが分かった。それぞれの花期はニッコウキスゲ4月、ノカンゾウ7月、ヤブカンゾウ8月と分かった。
 観音山から採取してきたノカンゾウの性質を調べるために発芽率を調べるという実験をした。雑種が論文にはあるが、どの個体がそうなのかは分かっていない。発芽をしないものが雑種である可能性が高い。
(1)種を水に入れ、浮いた種と沈んだ種に分けた。
(2)浮いた種を明条件(日を当て続ける)と暗条件(日に当て続けない)に分けた。沈んだ種も同様にした。
(3)明条件、暗条件と種の密度でそれぞれ発芽を確認し発芽率を調べた。
 発芽率は全体的に見てどの条件でも高いことが分かった。また、昨年のニッコウキスゲのデータからニッコウキスゲの発芽率も高い。観音山はニッコウキスゲ、ノカンゾウが更新して生育できる場所であることが分かった。
 今後の課題として、雑種個体を特定し、そのフェノロジーがどうなっているのかを調べたい。また、雑種はどのようにできたのかを明らかにしていき、ニッコウキスゲ類の塩基配列、種間の遺伝的な違いを調べ、観音山に生育する低地性のニッコウキスゲが他のニッコウキスゲとどのような遺伝的な違いがあるかを調べていきたい。


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