| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


シンポジウム S12-1  (Lecture in Symposium)

私たちは生態系を設計できるのか? 情報革新で究極の相互作用網を編む

*東樹宏和(京大・人環, JSTさきがけ)

地球上の生命系を俯瞰する立場において、また、地球上の物質やエネルギーの循環を統合的に考察する立場において、生態学者が果たす役割は本来、とてつもなく大きく、そして重い。これまでに生態学分野において膨大な基礎研究が蓄積されてきたが、その理論や概念をもとにして、地球上で人類が共存していく方策をどこまで提案できるであろうか? 失われゆく生物多様性を護りつつ必要な食糧を生産できる生態系を提案できるだろうか? 生態系を設計するという作業をつうじて、生態学が自然の本質に迫って来たのかどうか、自ずと明らかになっていくであろう。さまざまな生物種が関わり合って形成される生態系を理解するためには、個々の生物群に関する知見を最終的に統合していく必要がある。生物多様性に関する分析がハイスループット化した現在、一人の研究者であっても、多様な食物網や共生・寄生ネットワークの構造を解き明かし、その上位構造を垣間見れるようになってきた。様々な相互作用網に関する研究を紹介しながら、基礎・応用両面における生態学のフロンティアを議論したい。


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