| 要旨トップ | ESJ64 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


シンポジウム S12  3月16日 9:00-12:00 D会場

人と地球の未来に生態学を: 革新的基礎研究と究極目標の総合化に向けて

東樹宏和(京大・人環)

生態学が人と地球の未来を左右する時代を迎えている。環境収容力に達した70億人超の世界人口が90億人へと向かうなか、9億人が飢えたまま取り残されている。生物多様性の減少が生態系機能を低下させ、単純な農地生態系では新たな病原菌系統が食糧生産を脅かし、農業生産を支えるリン肥料は枯渇しつつある。20世紀のSFで夢見た「テクノロジーがすべてを解決する」時代はやってこず、食糧・生存環境・健康に関する不平等を第三世界に押し込めていた世界政治も退潮し、地球生態系内での人類の振る舞いを再考すべき時代を迎えている。本シンポジウムでは、起こりつつある基礎生態学上の革新とその応用可能性について事例を紹介しつつ、今後起こる生態学上の地殻変動を大局的な視点から論じたい。生物多様性、地球温暖化、水産資源、土壌環境、健康、および農業をフィールドとする第一線の専門家らに課題と最新の研究成果を報告していただきながら、「専門分野の垣根を破壊する技術革新」、「生態系理解における学際研究の必要性」、および、「人間行動の理解とその応用」について論じていただく予定である。生態系という複雑システムを研究対象とする生態学は、究極的に学際科学である。招待した演者はいずれも、「時代の先を読む」研究で世界を牽引する存在である。会場を巻き込みながら、集合知として生態学が向かう方向性を見通したい。

[S12-1] 私たちは生態系を設計できるのか? 情報革新で究極の相互作用網を編む 東樹宏和(京大・人環)

[S12-2] 環境DNA分析を用いた生物多様性調査法の進展と応用可能性 源利文(神戸大・発達)

[S12-3] 人はなぜ、森で感動するのか: 人と自然のかかわりの多面性にいどむ 伊勢武史(京大・フィールド)

[S12-4] 健康長寿社会の実現に向けた腸内微生物生態系の制御 福田真嗣(慶応大・政策メディア)

[S12-5] イオン・化合物レベルの土壌物質動態解析:植物・土壌・ヒトの相互作用を予測する 藤井一至(森林総研)

[S12-6] つながる微生物の不思議: 争うよりも共に生きることで見えてくる世界 成澤才彦(茨城大・農)

[S12-7] Future Earthの生態学: 生物多様性から人間行動まで 矢原徹一(九大・理)


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