| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-296  (Poster presentation)

流入負荷の違いがミズゴケ湿原の栄養塩循環機能に与える影響

*木塚俊和(北海道立総合研究機構), 佐藤奏衣(札幌市立大学), 矢部和夫(札幌市立大学), 矢崎友嗣(明治大学)

河川・湖沼・沿岸域の良好な水質の維持は人の健康の保護や豊かな魚場環境、景観、生物多様性などの保全において欠かせない。北海道の湿地帯に広く分布する泥炭地湿原では、上流から流入した栄養塩類が堆積や植物の吸収などによって保持され、また、無機態から有機態あるいは溶存態から気体へと形態が変化するなど、流下過程の中で様々な質的・量的変化を受ける。これら湿原の栄養塩循環機能は下流の水質形成に重要な役割を果たしている。一方、こうした機能はその植生や水文条件に加え、外部からの栄養塩負荷に応じて変化することが知られている。そのため、こうした機能を流域の水質管理に活用するためには、様々な負荷条件下で機能を定量的に把握する必要がある。しかし、国内の泥炭地湿原における栄養塩循環機能の定量的知見は乏しく、とくに人為的な栄養塩負荷が機能に与える影響を調べた例は見当たらない。本研究では、北海道勇払平野において、人為的影響の少ない自然条件の湿原と、外部から栄養塩負荷を受けた湿原を対象に、窒素とリンの流入・流出量を現地観測し、流入負荷の違いがミズゴケ湿原の栄養塩循環機能に与える影響を明らかにすることを目的とした。対象地は河川上流の谷底部に発達した泥炭地湿原で、植生はミズゴケ類や中~小型のスゲ類などが優占する。両湿原に約120 m×120 mの試験区を設定し、さらに試験区内を格子状に36小区画に分けた。各小区画に水位観測管を設置し、2016・2017年の非結氷期に毎月1回水位を測定した。さらに、両試験区の代表点に自記水位計を設置し、水位を連続観測した。また、2016年8・11月と2017年5月に各小区画の水位観測管から地下水を採取して、窒素とリンの濃度を分析した。これらの観測データをもとに、両湿原における水および窒素とリンの流入・流出フラックスを算出し、栄養塩循環機能を比較した。


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