| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-119  (Poster presentation)

山形県におけるツキノワグマ目撃地点の特徴

*斎藤昌幸, 江成広斗(山形大学農学部)

市民から寄せられる野生動物の目撃情報は分布把握などさまざまな目的に利用されており、特にクマについてはしばしば被害リスク管理に用いられてきた。クマの目撃数の増加は、そこで人的被害が生じる可能性が高まっていると捉えられるからである。山形県ではツキノワグマの目撃や出没、人身被害に関する情報を継続的に収集しており、これらの情報を活用することでクマによる人身被害リスクを推定できる可能性がある。本研究では、山形県におけるクマ目撃地点の景観構造を明らかにすることを目的とした。
2017年におけるクマの目撃ならびに人身被害に関する情報を目撃情報として利用した(計464地点)。この目撃地点(1)とランダムに発生させた地点(0)を環境要因で説明する一般化線形混合モデルを構築した。説明変数には、森林からの距離、住宅地からの距離、農地からの距離、河川からの距離、2000 mバッファー内の針葉樹林率、人口密度を使用し、ランダム変数には旧市町村名を用いた。
解析の結果、森林や住宅地、農地に近い場所で目撃が多い傾向にあった。これは、クマのハビタット(≒森林)に近く、かつ人間活動が活発な場所で目撃が多いということを示していると考えられ、そのような場所は人とクマが遭遇しやすいため人身被害リスクが高いと推定される。また、効果としては大きくなかったが、河川に近い、針葉樹林が多い、人口密度が少ないといった条件の場所でも目撃が多い傾向にあった。ただし、旧市町村ごとのランダム効果の推定値を見ると、地域によって差がみられたことから、目撃情報の空間分布などにバイアスがある可能性も示唆された。


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