| 要旨トップ | ESJ66 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


シンポジウム S07  3月17日 9:30-12:30 Room E

樹木の根を見る・視る・診る ~画像を使った新たな試み~
Observation, visualization and investigation of hidden roots in soil ~Development of imaging techniques for studying woody roots~

大橋瑞江(兵庫県立大学), 平野恭弘(名古屋大学), 中路達郎(北海道大学)
Mizue Ohashi(University of Hyogo), Yasuhiro Hirano(Nagoya Univ.), Tatsuro Nakaji(Hokkaido Univ.)

樹木にとって根は、地上部の支持、養水分の吸収と輸送、養分貯蔵などの働きをする器官である。根は部位により分かれた機能を持ち、直径数㎜以下の細根の先端部は養水分の吸収を、それより基部側では輸送を担う。粗根と呼ばれる太い根は、地上部を支え、枝のように細根に広がりをもたらす。樹木根系はこのような生育に必要な器官であるだけでなく、森林の生態系サービスの発現とも深い関わりを持っている。活性が高く、葉のようにライフスパンの短い細根は、土壌に滲出物や枯死根を供給することによって、土壌生物群集の発達に寄与したり、土壌での炭素貯蔵を促進したりしている。粗根は長期的に炭素を貯留するだけでなく、土壌に網の目状に広がることで、表層土壌崩壊の防止に寄与している。しかしながら樹木の根は土壌中に生育するため直接視ることができず、また、草本よりもはるかにサイズが大きいことから、その研究手法には大きな制約がある。このため、樹木根に関する研究は地上部に比べてはるかに遅れているのが現状である。
しかしながら近年、様々な撮影技術や画像処理技術の発達から、樹木根の働きや構造を精度よく簡便に知る方法が発達してきた。例えば土壌中の根の動きを撮影するスキャナ法や掘らずに根の在処を知るレーダ法、構造を簡便に把握できる3Dスキャナなどが挙げられる。本シンポジウムでは、これらの研究に精力的に取り組んでいる演者を招き、画像を使った研究の現状と展望について議論する。

[S07-1]
ミニライゾトロン法による樹木細根動態の解析 野口享太郎(森林総研東北)
Analyses of fine root dynamics of trees using the minirhizotron technique Kyotaro Noguchi(Tohoku Research Center, FFPRI)

[S07-2]
スキャナーによる土壌画像から細根動態を抽出する方法論:観測者と画像サイズの影響 久米朋宣(九州大学)
Soil image analysis procedure for optical scanning of fine-root dynamics: Effect of observer and root-viewing window size Tomonori Kume(Kyushu Univ.)

[S07-3]
林分の細根動態測定におけるフラットベッドスキャナーの利用可能性 仲畑了(京都大学)
Availability of a flat-bed scanner for measuring fine root dynamics in a forest stand Ryo Nakahata(Kyoto Univ.)

[S07-4]
リギダマツ林における下層植生と有機物層の除去が細根フェノロジーに与える影響 Byung Bae Park(Chungnam National University)
The effects of understory vegetation and organic horizon removal on fine root phenology in the Pinus rigida plantation Byung Bae Park(Chungnam National University)

[S07-5]
樹木の倒れにくさを根系で評価する-根系の三次元データ取得法の検討- 藤堂千景(兵庫農林総セ, 名古屋大学)
Evaluation of tree stability by root structure - development of methods for obtaining three-dimensional data of root system- Chikage Todo(Hyogo pref. tec. ctr., Nagoya Univ.)


日本生態学会