| 要旨トップ | ESJ70 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


シンポジウム S05  3月19日 13:00-16:00 Room E

あなたの知らないサトイモ科植物の世界【B】
The world of Araceae plants you don't know【B】

村中智明(鹿児島大・農), 松本哲也(岡山大・環境生命), 高野(竹中)宏平(長野県環境保全研究所)
Tomoaki MURANAKA(Kagoshima Univ. Agri.), Tetsuya MATSUMOTO(Okayama Univ.), Kohei Takenaka TAKANO(Nagano Env Cons Res Inst)

生き物の大きな魅力のひとつに多様性がある。多様性の起源を探るには、大きな進化の流れの帰結として多様性を捉える必要がある。生態学的知見と分子生物学的知見の統合が進み、ポストゲノムの時代とも呼ばれる昨今では、個々の生物種だけでなく、一つの分類群まるごとに対し、がっぷり四つに組んで、進化・多様性を研究することも夢ではなくなってきた。サトイモ科は驚くべき多様性を示す分類群であり、125属・約3750種が知られる。発熱植物として有名なザゼンソウ、浮遊性で極小の花をつけるウキクサ、園芸品種として世界的に流通しているアンスリウムやポトス(オウゴンカズラ)、騙し送粉を行う特異な花形態をもつテンナンショウ、古くから食用として利用されてきたサトイモ、ウキクサとは反対に巨大な花序をつけるコンニャク。これらがAPG分類体系ではサトイモ科に配置される。形態の多様性に加え、性表現も原始的な両性花から単性花への進化や、性転換など多様性に富む。さらにはクローン繁殖など花を咲かせない戦略も進化している。サトイモ科に尋ねてみたい。どのように、これほどの多様性を獲得したのかと。本シンポジウムは、そのような動機で企画された。各講演者は、様々な興味を背景として、偶然にもサトイモ科植物を研究対象とした。各々の研究は、サトイモ科という広大なフロンティアのほんの一部に光を当てたのみである。しかしながら、研究者間で協力してサトイモ科の全体像に迫ることも可能だと考えている。本シンポジウムを皮切りとしてサトイモ科ネットワークを立ち上げたい。多くの方の参加を歓迎いたします。

[S05-1]
発熱植物としてのザゼンソウ研究~分子から生態まで~ *稲葉靖子(宮崎大・農), 佐藤光彦(かずさDNA研究所), 高野(竹中)宏平(長野県環境保全研究所)
Towards understanding the mechanism and role of floral thermogenesis in skunk cabbages (Symplocarpus spp.) *Yasuko ITO-INABA(Univ. Miyazaki), Mitsuhiko P SATO(Kazusa DNA Research Institute), Kohei Takenaka TAKANO(Nagano Environ Cons Res Inst)

[S05-2]
ウキクサ植物:花成制御多様化の古くて新しいモデル *村中智明(鹿児島大・農)
Duckweed (Lemnoideae): an old and emerging model system to study diversification of flowering regulation *Tomoaki MURANAKA(Kagoshima Univ. Agri.)

[S05-3]
海岸林における侵略的外来種オウゴンカズラの再生能力 *鵜川信, 蜂須賀莉子, 石川佳芳(鹿児島大・農)
Regrowth ability of an invasive species Epipremnum aureum in coastal forests *Shin UGAWA, Riko HACHISUKA, Kaho ISHIKAWA(Kagoshima Univ. Agri.)

[S05-4]
テンナンショウ属の不思議な生態:送粉様式・性表現・適応放散に注目して *松本哲也(岡山大・環境生命)
The mysterious ecology of Arisaema, including pollination system, sex expression, and adaptive radiation *Tetsuya MATSUMOTO(Okayama Univ.)

[S05-5]
サトイモ(Colocasia esculenta)の世界史:生態学的観点から *Peter Joseph MATTHEWS(National Museum of Ethnology)
An ecological view of the global history of taro *Peter Joseph MATTHEWS(National Museum of Ethnology)

[S05-6]
タロイモショウジョウバエとサトイモ科植物の送粉共生:近年の発見 *高野(竹中)宏平(長野県環境保全研究所), 三宅崇(岐阜大・教育), Peter Joseph MATTHEWS(National Museum of Ethnology), 大坪雅(宮崎大・農, 京都大・生態研セ), 屋富祖昌子(沖縄県那覇市), 稲葉靖子(宮崎大・農)
Pollination mutualisms between Colocasiomyia flies and Araceae plants: Recent findings *Kohei Takenaka TAKANO(Nagano Env Cons Res Inst), Takashi MIYAKE(Gifu Univ.), Peter Joseph MATTHEWS(National Museum of Ethnology), Miyabi OTSUBO(Univ. Miyazaki, Kyoto Univ.), Masako YAFUSO(Naha City, Okinawa), Yasuko ITO-INABA(Univ. Miyazaki)

[S05-7]
サトイモ科研究の展望 *邑田仁(東京大・附属植物園)
Comments on the studies on Araceae *Jin MURATA(Botanical Gardens, Univ. Tokyo)


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