| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


自由集会 W05-4  (Workshop)

スマートフォンを用いた生態系調査による環境教育と保全管理
Environmental education and ecosystem management through environmental surveys using smartphones

*西田貴明(京都産業大学), 多賀洋輝(株式会社バイオーム), 大庭義也(東邦レオ株式会社)
*Takaaki NISHIDA(Kyoto Sangyo University), Hiroki TAGA(BIOME INC.), yoshiya OBA(TOHO-LEO Co.)

生物多様性の保全を進めるために、生物の分布情報などの膨大な基礎データの収集は欠かせない。大学や地域におけるOECMを推進する上においても、生物の分布情報などの膨大な基礎データの収集が求められるが、広域の生物分布調査には多くの人員・費用・時間を必要とし、実践には困難が伴う。近年は、IoTやAIといったデジタルツールの発展や市民科学の浸透により、サンプリングの速度・規模共に向上している。画像認識による種名判定AIを搭載する「いきものコレクションアプリBiome」は、これまでに約70万人の市民ユーザから約420万件の発見情報を収集している。これにより、大学の敷地においても、学生などの非専門家の参画により、生物情報の収集や、緑地や樹木の状態の把握を効率的おこなえる可能性がある。また、東邦レオ株式会社は都市の緑の価値を定量化・可視化するツール「U-GREEN」を開発し、生態系サービスの評価ツールを提供している。これらのスマートフォンのツールを用いることで、大学の緑地における自然の機能の理解や認識共有を促すことができると期待される。本発表では、学生の自然環境調査を促すこれらのツールを活用した京都産業大学の産学連携の取組を紹介し、これまでに収集したデータの特徴や解析結果を示し、生物多様性の保全が主流化していく社会において、大学を中心とした地域の生物多様性保全やグリーンインフラの推進に向けて、産官学連携のあり方を議論したい。


日本生態学会