| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


自由集会 W09-4  (Workshop)

沖縄島におけるグリーンアノール対策
Countermeasures of green anole in Okinawa Island

*河内紀浩(島嶼生物研究所)
*Norihiro KAWAUCHI(Islands Wildlife Laboratory)

沖縄県内では、グリーンアノールが沖縄島と座間味島に定着している。県内での初記録は1989年の八重瀬町となっており、現在は那覇市や豊見城市を中心に高密度に生息している。今回、沖縄島での対策の現状について紹介する。
 本事業では、新規に開発したラップ型トラップを主に用いた捕獲、チラシやHP上での目撃情報の収集、市民参加型の捕獲を推進し、地域での防除体制の構築を行っている。
その結果、公園や学校などの公共施設では、トラップによる捕獲でCPUE(捕獲効率)の低下がみられている。しかし、周辺地域には民家などの私有地が多数存在し、トラップの十分な設置が難しいそれらの地域において、分布拡大や生息数の増加が起きていると考えられる。それに加え、新たに浦添市などで繁殖個体群が確認され、東村や名護市、うるま市などの那覇市から遠い場所での目撃情報が寄せられるなど、車両等による長距離の移動・拡散が起きており、分布の拡大防止や個体群の抑制が出来ていない状況である。
今後、重要地域や他の離島への拡散を阻止する必要があるが、現状では効果的な対策がなく、課題となっている。特に、私有地での拡散防止が重要課題であり、地域全体での防除の推進が必須である。そのためには各自治体、様々な専門家や関係者の参画が必要であり、地域社会との連携をどう進めていくかがカギとなると考えている。


日本生態学会