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企画集会 T17

環境保全とゲーム理論

企画者: 大野(鈴木)ゆかり(九大・理), 三谷羊平(早稲田大・経済)

最近の生態学会の中心話題のひとつとして、生物多様性保全があげられる。保全を研究する生態学者は増え始めているが、日本生態学第51回大会企画シンポジウム「日本生態学のめざすところ」では、「生物多様性保全は、自然科学の規範の範囲内か?」という疑問が投げかけられた。保全というものは目的があり、人間の価値観がどうしても入ってしまう。自然科学が客観性や論理性に基づくものだとすると、保全は自然科学ではなくなってしまう。これが、社会的ニーズが高いのにもかかわらず、生態学者が保全になかなか踏み込めなかった要因の一つである。

 しかし現在、生物多様性保全は生態学者が取り組まなくてはいけない重要な課題である。一方で、人間の価値観を研究対象として扱ってきたのが、社会科学である。今回の自由集会では、保全や公共財に対する人間の行動・価値観やゲーム理論を扱っている経済学の若手研究者の方をお招きし、人間の行動・価値観をどのように科学として扱うのか、また、どのような性質があるのか、お話を伺う。具体的には、人にとっての環境の価値(健全な生態系から便益を得たり、環境汚染から負の効用を得たりなど)や、公共財ゲームにおける人間行動の理論と実験(どうしたら公共のために協力するかなど)について、発表していただく。また、この集会を通して、経済学者と生態学者との環境保全についての共同研究の可能性を探りたい。

司会:大野(鈴木)ゆかり(九大・理)

コメンテーター:巌佐庸(九大・理)

[T17-1] 環境保全の便益:環境評価は何をどこまで明らかにすることができるか? 三谷羊平(早稲田大・経済)

[T17-2] 自発的な生態系保全行動を誘発する経済メカニズムの可能性 小谷浩示(国際大・国際関係学)

[T17-3] 環境問題と人間の協力行動:公共財ゲームの被験者実験より 鈴木真介(筑波大・システム情報工学)

[T17-4] 湖の水質汚染と人々の協力モデル:生態系ダイナミクスと社会経済学的選択ダイナミクスのカップリングの例として *大野(鈴木)ゆかり(九大・理), 巌佐庸(九大・理)

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