| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-073

温帯性木本ツルにおけるシュートの形態的可塑性と登攀様式の関係

*西尾孝佳,中村満理恵(宇都宮大・雑草セ)

北米,欧州,豪州などに持ち出されたアジア原産の温帯性木本ツルの一部が顕著な雑草性を示し,その雑草化機構に関する様々な研究が行われているが,雑草化潜在性の起源となる原産地域での生態的特性については未だ情報が少ない。そこで本研究では,海外で顕著に雑草化するスイカズラ(Lonicera japonica),アケビ(Akebia quinata),ツルウメモドキ(Celastrus orbiculatus)と,これらと高頻度で同所的に出現するアオツヅラフジ(Cocculus trilobus)に関して,シュートの形態的可塑性を比較し,雑草化の一因となる登攀様式との関係を解析した。調査は宇都宮市柳田緑地内の鬼怒川河畔周辺で実施した。調査地域内の落葉広葉樹林,常緑−落葉混交林,落葉低木林及び林縁に出現する遺伝的に異なった個体から,シュートまたはラメット単位で植物体を採取した。採取の際には,木本ツルの生育状況,登攀対象の種,樹高,樹冠面積なども記録した。また,全天空写真を撮影し,その画像より生息地の光環境を推定した。採取したシュート及びラメットは実験室にて,シュート単位では,全長,基部径,葉面積,葉柄長,節間長,葉数,果実数,器官乾物重などを,ラメット単位では,シュート単位の計測に加えて,シュート数,シュート次数,ラメット長,ラメット基部径などを計測した。その結果,(1)供試した木本ツルには,巻き付きや地這など,異なる4タイプの機能を持つシュートが存在する,(2)種及びシュート機能タイプによって,形態的可塑性の程度,開花,結実の頻度が異なる,(3)光環境や登攀対象に対するシュート機能タイプの発生頻度が種間で異なる,などが示唆された。


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