| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


一般講演(ポスター発表) P1-195

アカマツ林に生育するツツジ科低木4種の樹形とシュート形態の比較

*城田徹央(信大・農),岡野哲郎(信大・農)

ヤマツツジ−アカマツ群集は本州中央部に普通に見られ、林床の種数がそれほど多くないこと、ツツジ科低木を多く伴うことを特徴としている。これらのツツジ科低木の空間獲得様式について、本研究では調査を行った。調査地は伊那市羽広地区の経ヶ岳の麓にあたる。南東向きの斜面で、上層の被度が低く、林床が発達していた。ツツジ科植物の被度が高く、バイカツツジ、ホツツジが優占し、次いでトウゴクミツバツツジ、ヤマツツジが多く認められた。

これら4種のシュート形態を比較した結果、シュート重量あたりのシュート投影面積が最も大きかったのはホツツジであり、最も小さかったのはバイカツツジであった。したがって、このシュートレベルの値だけでは4種の優占度を説明できないと考えられた。

次に親シュートから娘シュートが分岐するプロセスを解析し、シミュレーションを行った。その結果、ヤマツツジはよく分岐するが娘シュート長合計が短く、トウゴクミツバツツジは分岐が少ないものの娘シュート長合計が長くなることが明らかにされた。一方、バイカツツジとホツツジは、親シュート長が短い場合には娘シュート長の合計が他の2種よりも短くなるが、親シュート長が長い場合には他の2種よりも娘シュート長の合計が大きくなることが明らかにされた。このサイズ依存的な空間獲得能力の可塑性が、明るい林床におけるバイカツツジとホツツジの高い優占度を実現させている可能性が考えられた。


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