| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


一般講演(口頭発表) I1-04

特定外来生物ナルトサワギクの分布の現状および潜在的分布の予測

*堤 道生(近中四農研セ)

ナルトサワギク(Senecio madagascariensis Poir.)は南アフリカおよびマダガスカル原産のキク科の多年生(ときに一年生)草本であり,オーストラリア,南アメリカ,ハワイなど世界中に帰化している侵略的雑草である。わが国では1976年に徳島県鳴門市で発見された後,西日本を中心に分布域を拡大し,2006年には環境省により特定外来生物に指定されている。本種はピロリジジンアルカロイドを含んでおり,飼料畑や放牧地への侵入,家畜の中毒および畜産物の汚染が懸念されている。したがって,本種の分布の現状把握および今後の分布拡大予測が必要である。

本研究では,まずわが国における本種の現状の分布について調査を行った。さらに,その位置情報と国内の3次メッシュ(約1 km四方)ごとに推定された気候データに基づく16の気候変数との関係を最大エントロピー原理に基づいてモデル化し,潜在的分布(分布の拡大可能範囲)の予測を行った。解析には,「在」データのみから潜在的分布を予測することができるMaxentを用いた。

調査の結果,17府県(福島,静岡,三重,滋賀,京都,奈良,大阪,和歌山,兵庫,岡山,島根,香川,徳島,高知,長崎,熊本および鹿児島)69市町村251地点で位置情報を取得した。潜在的分布の予測で寄与率の高かった変数は,最高四半期平均気温,最寒月平均最低気温,最寒四半期平均気温および年平均気温であり,わが国における本種の分布が降水量ではなく気温に制限されることが示唆された。潜在的分布予測の結果,関東から九州までの主に太平洋側および瀬戸内海側の沿岸部に生育適地が多く見られた。特に,東京湾岸,東海地方西部沿岸部,瀬戸内海沿岸地域西部および九州北部では現在まで本種は未確認であるが,生育適地が多かった。また,潜在的分布の北限は岩手県大船渡市,南限は奄美大島と予測した。


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