| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第58回全国大会 (2011年3月,札幌) 講演要旨


企画集会 T10-3

千葉県の生物多様性保全関連施策における千葉県生物多様性センターの役割-とくにイノシシ,シカ,サルなどの保護管理施策を中心に-

浅田正彦(千葉県生物多様性センター/千葉県立中央博物館)

千葉県生物多様性センターは、2008年4月に県庁自然保護課内に組織され、執務室は千葉県立中央博物館内にある。ここでは、一般行政職、水産職、林業職、畜産職とともに、中央博物館の研究者が併任職員として配属されている。当センターは「生物多様性ちば県戦略」の推進を図るため、生物多様性の保全・再生に関わる調査研究・技術開発、教育普及・現場指導とともにシンクタンク機能を果たすとともに、積極的な県施策の推進を行っている。

発表者は哺乳類の専門家として中央博物館の研究員をしており、設立時より生物多様性センターで専従的に業務を行っている。主な業務内容としては、外来種対策推進、イノシシなどの保護管理施策のためのシンクタンク業務などを担当している。

この業務の中では研究者としての能力が必要な場面と、行政担当者として行動する場面があり、業務実態は中央博物館での業務とは明らかに異なり、シンクタンク機能には2つの側面があるように感じている。一つは博物館でも行っている「自然情報シンクタンク」で、生物の存在情報や、希少性あるいは外来種の侵略性の程度についての専門的情報提供である。もう一つは「行政的シンクタンク」ともいえるもので、保全のための法的背景や、生息地を管理する行政部局の照会、より詳しい専門機関の照会(シンクタンクのシンクタンク)である。場合によっては問題解決に向けた仲介・調整を行うこともある。後者は、当センターでは日常的業務として対応しており、博物館では組織的には行っておらず、研究員の主な仕事としても位置づけられていない。特に行政内部からの相談においては、自然保護課併任職員ならではの事情もあり、講演内で詳細を述べる。


日本生態学会