| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


一般講演(ポスター発表) PA3-032 (Poster presentation)

宿主の違いは寄生蜂の体サイズ・成長速度にどのような影響を及ぼすか?

*滝ヶ平智博(北大・院環境),木村正人(北大・院環境)

捕食寄生蜂にとって宿主は幼虫期に利用できる唯一の資源であり、寄生した宿主の質が寄生蜂の形質に大きく影響する.飼い殺し寄生蜂は、寄生後も宿主を生かしたまま成長させるため、寄生蜂にとっての宿主の質は、寄生後に宿主がどれくらい成長するか(宿主をどのくらい成長させるか)という寄生蜂と宿主の相互作用によって決定される.従って、複数の宿主種を利用するgeneralistにおいて宿主種の違いが寄生蜂の形質に与える影響は、寄生蜂-宿主種間の相互作用そのものを反映するものであると考えられる.

本研究では、西表島に生息する2種の飼い殺し寄生蜂と4種のショウジョウバエを用いて、宿主種の違いが寄生蜂の体サイズ・成長速度にどのような影響を及ぼすかを調べた.寄生蜂の体サイズ・成長速度は宿主種の影響を受け、サイズの大きな宿主を利用した寄生蜂の体サイズは大きく、成長速度の速い宿主を利用した寄生蜂の成長速度は速くなった.ただし、寄生蜂の体サイズは一定の大きさで頭打ちになる傾向が見られた.また、どの宿主種を利用した場合でも、オスはメスに比べ体サイズが小さく、成長速度は速かった.3種の宿主種では、寄生蜂に寄生された宿主は寄生されていないときに比べて蛹サイズが減少し、蛹化までの期間は長くなった.しかし、最もサイズの小さい宿主種では、蛹サイズに変化は見られず、蛹化までの期間は短くなった.さらに、オスの寄生蜂に寄生された宿主の蛹は、メスに寄生された宿主の蛹より小さかった.

これらの結果は、宿主種の違いが寄生蜂の体サイズ・成長速度のvariation生み出すこと、寄生蜂は自身の体サイズ・成長速度を最適なものするために宿主種の成長をコントロールしていることを示唆している.


日本生態学会