| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


一般講演(ポスター発表) PB2-114 (Poster presentation)

アゲハチョウ・タテハチョウの逃避利用場所と樹林構造

*太田真人,東郷有城(龍谷大・院・理工),遊磨正秀(龍谷大・理工)

捕食-被食関係に対し空間構造の違いが影響を与えていることは魚類や鳥類を対象にした報告が多くある。しかし、蝶類など陸上昆虫などを対象にした捕食-被食関係に対する空間構造の影響については報告が少ない。そこで、本研究では捕食圧の指標である蝶類の翅に付けられたビークマーク率を用いて、樹林構造の違いが捕食-被食関係に与える影響を検証した。滋賀県内の種組成が類似している2つの調査地(龍谷の森、ロクハ公園)において樹林構造とビークマーク率を調査した。各調査地に約2kmのルートを設定し、ルートセンサスを行った。またルート上に20mの区画を連続的に設定し、樹林構造を測定した。樹林構造の指標として開空率と林内見通し率を用いた。蝶類はビークマーク率から捕食圧が推定可能とされるアゲハチョウ科とタテハチョウ科を調査対象とし、それらを逃避利用場所型として4つのタイプ(林内型、樹冠型、茂み型、開放型)に分けて解析を行った。その結果、まず調査地の特徴として龍谷の森では開空率と林内見通し率との間に負の関係、もう一方のロクハ公園では正の関係が見られた。次に各調査地において開空率の高低、林内見通し率の高低で、樹林構造の特徴を4つのグループに分け、その特徴の環境内で観察できた蝶類種組成の類似度指数Cλを算出した。その結果、開空率と見通し率が正の関係であったロクハ公園において樹林構造の特徴を示した4つのグループが2群に分かれた。その2群において蝶の逃避利用場所型のビークマーク率を比較した結果、林内を利用する蝶においてのみ差が見られた。2群間で異なっていた要因は林内見通し率であったことから林内見通し率が林内を逃避場所として利用する蝶と捕食者の捕食-被食関係に影響を与えていることが示唆された。


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