| 要旨トップ | ESJ63 企画集会 一覧 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


企画集会 T11 -- 3月22日 9:30-11:30 RoomD

新しい群集生態学: 理論-実証間ギャップを飛び越える

企画者: 近藤倫生(龍谷大・理工)

群集生態学、とくに種間相互作用からの群集理解は行き詰まっているように見える。現在主流となっている群集理論は、「種間相互作用によって個体群動態が駆動される」、したがって「群集動態はつながった多種個体群動態である」という仮説に基づいている。この仮説は、競争関係や栄養関係が駆動する個体群動態のモデリングを可能にし、群集構造−動態関係の理論的理解に一定の役割を果たしてきた。しかし、同時に、このアプローチには様々な困難、特に実証研究に関する困難がある。第一に、個体群動態やその特性(たとえば安定性)を自然生態系でモニタリングすることの困難さ。第二に、種間相互作用を特定したり定量したりすることの困難さ。第三に、複雑な自然生態系における,非線形性から生じる群集パターンやメカニズムの状況依存的な変化と、これに由来する一般理論構築の困難さがはっきりしてきた。さらに、生物群集の予測・制御といった応用的課題への取り組みは大きく遅れている。これらの困難さを克服し、真の理論-実証間の協働を可能にするような「新しい群集生態学」を構築することが求められている。そこで、この企画集会では、この困難を克服する武器となるいくつかの新しい群集へのアプローチを紹介するとともに、「新しい群集生態学」はどのようなものになるかを議論したい。

[T11-1] 群集生態学における種間相互作用論とその限界  近藤倫生(龍谷大・理工)

[T11-2] 環境DNA分析によってどのような情報が得られるのか?  源利文(神戸大院・人間発達環境)

[T11-3] 食物網研究に同位体は有用か?解決すべき問題点と可能性  長田穣(地球研)

[T11-4] 生物群集の存続に果たす密度依存の重要性:非線形時系列解析を用いた枠組みの提  川津一隆(龍谷大・理工)

[T11-5] 野外生態系での変動する相互作用強度と局所安定性の定量化  潮雅之(龍谷大・理工)


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