| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-E-168  (Poster presentation)

水鳥のモニタリングにおけるUAVの利用可能性

*鈴木透(酪農学園大学)

モニタリングサイト1000ガンカモ類調査・ガンカモ類の生息調査(環境省)、季節前線シギ・チドリ(バードリサーチ)などで実施されている水鳥のモニタリングは主に飛来する水鳥の種とその個体数をカウントしている。しかし、数万羽が飛来する渡り期では正確な個体数の把握が困難であることや専門家による調査であるため複数地点での調査が実施できないこと等の課題がある。近年開発されたUAV(Unmanned aerial vehicle)は測量、災害調査、農薬散布など様々な分野で利用されており、生物相のモニタリングにおいても調査の効率化、多時期のデータ取得など既存の調査手法を補完できる可能性がある。そこで本研究ではUAVを用いた水鳥相の把握に必要な画像の精度を検証し、目視とUAVによる調査精度を比較することで、水鳥のモニタリングにおけるUAVの利用可能性を検討することを目的とした。種の判別や個体数を把握できる画像解像度は主にUAVに搭載しているカメラの性能や撮影時の高度に依存している。そこでマガン、マガモ(♂・♀)、コガモ、カイツブリの剥製を用いて画像の解像度別に水鳥の分類精度を検討した。分類精度と画像解像度の関係はGLMMを用いて分析した。その結果、種の大きさや模様により必要な画像解像度は異なるが、水鳥として判別するためには約2cm/pixel以下、種の判別には約1cm/pixel以下の画像解像度が必要であることが明らかになった。また、目視とUAVによる水鳥の種構成の調査結果を比較した結果、目視とUAVは同等の調査精度であることが明らかになった。これより、水鳥に影響を与えない高度で水鳥のモニタリングに必要な情報を得るための画像取得は、現状のUAVでも可能であると考えられた。


日本生態学会