| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-I-282  (Poster presentation)

花の空間分布が送粉者および捕食者の分布に与える影響

*丑丸敦史(神戸大), 勝原光希(神戸大), 中田兼介(京都女子大), 石井博(富山大), 北村俊平(石川県立大)

生物群集の空間分布の不均一性を説明することは、群集生態学の中心課題の一つである。植物−植食者−捕食者の三者系を考える場合、植物の分布は資源(光・水分・栄養塩環境)の分布に大きく影響を受けると考えられるが、植食者の分布は植物の分布および捕食者の分布に、捕食者は植食者の分布に影響を受けると考えられる(Schmalhofer 2001)。観察時間が十分短い場合、植食者や捕食者の空間分布は、これらの動物の移動やその資源の分布への反応感度に依存して決定し、三者の空間分布の一致(植物量の豊富な場所において植食者も捕食者も多い)がみられる場合があることが示唆されている (Kondoh et al. 2016)。
植食者である送粉者の分布は、開花量の分布や捕食者の存在によって影響を受けること、一方で送粉者の捕食者であるクモ類の分布は送粉者の生物量と相関することが報告されているが(例えばSchmalhofer 2001)、研究例は少なく、送粉者に関してはハナバチ類を主な対象とした研究しか存在しない。
この研究では、コチャルメルソウ−キノコバエ−クモ類の三者系を対象に、開花量の異なる複数のパッチについて開花量、キノコバエの訪花頻度、クモ類の存在頻度を定量化し、三者の空間分布に一致が生じているか検証を行った。このとき、開花量を実験的に減少させ、この減少に対してキノコバエやクモ類の頻度の即時的な減少が見られるか明らかにし、三者の空間分布の一致が送粉者・捕食者の移動によってもたらされたのかについて検討した。


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