| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-224  (Poster presentation)

ウミネコの食性と採餌環境利用の性差

*風間健太郎(北海道大学), 西沢文吾(北海道大学), 塚本祥太(北海道大学), Gonzalez E Jordi(Barcelona University), 風間麻未(北海道大学), 綿貫豊(北海道大学)

採餌環境の雌雄間の隔離は、繁殖期の海鳥で多く観察される。雌雄間の隔離は、採餌場をめぐる雌雄間の競争を避けるため(競争排除仮説)、あるいは、雌雄が異なる餌を採食するために生じる(栄養仮説)と考えられている。しかし、食性と採餌環境利用の性差を同時に調べた研究は多くはなく、その原因は判然としていない。本研究では、2016年に北海道利尻島において抱卵期のウミネコ雌雄各6個体にGPSロガーを装着し採餌環境利用を調べるとともに、別の47個体から吐き戻しを集め食性の性差を調べた。雌雄ともにほぼ全ての個体がイカナゴを吐き戻した。一方、採餌環境は雌雄で異なり、雌は営巣地から100km以上離れたオホーツク海で主に採餌したが、雄はより営巣地に近い陸棚域や漁港も良く利用した。また、雄は主に昼間に採餌したが、雌は夜間によく採餌した。食性が同じにもかかわらず採餌環境利用が時空間的に雌雄で異なった本研究の結果は「競争排除仮説」を支持した。雄よりも体サイズの小さなウミネコの雌は、餌をめぐる個体間競争が激しいと予想される近場の海域や漁港を避けた可能性がある。


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