| 要旨トップ | ESJ66 自由集会 一覧 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


自由集会 W31  3月17日 17:45-19:15 Room G

森林における撹乱の時空間ダイナミクス
Spatio-temporal dynamics of disturbance in the forest

中河嘉明(滋賀大・DS)
Yoshiaki Nakagawa(Shiga Univ.)

これまでの研究により、撹乱が森林の構造やダイナミクスに対して甚大な影響を与えることが知られている。また気候変動と撹乱に密接な関係があることも明らかになりつつある。こうした背景のもと、森林/植物個体群モデルや長期植生予測シミュレーターである動的植生モデル(DGVM)に撹乱モジュールの開発と導入が進められている。しかしながら、既存の撹乱モジュールは、未だに実際の撹乱の時空間パターンを再現するに至っていない。特に火災などの撹乱規模はべき乗分布に従うことが知られているが、多くの撹乱モジュールはそのような統計則を考慮できていない。べき乗分布のテイル部分は「稀であるが大規模な撹乱」に相当し、そのような撹乱が生じた場合、森林に大きな影響(ダメージ)を与えることが予想される。また撹乱のべき乗分布の考慮は、シミュレーションの不確実性評価にも影響を与えること(特に不確実性の増大)が予想される。本集会では、近年の測定技術の発展により取得可能になった大規模かつ長期(数百年)の森林撹乱データの解析、極端気象を想定した人工的撹乱実験および極端気象現象を含む長期炭素フラックスデータベースと統計モデルを用いた生態系レジリエンスの定量的評価、ならびにモデルシミュレーションによる撹乱の時空間分布の統計則を形成するメカニズム解析など、最新の研究成果を通じて撹乱が森林に及ぼす時空間ダイナミクスについて議論したい。

[W31-1]
野外実験・数値解析を用いた撹乱に対する生態系レジリエンスの評価 戸田求(広島大・院・生物圏)
Assessing the resilience of forest ecosystems to disturbances using experimental and statistical approaches Motomu Toda(Hiroshima Univ.)

[W31-2]
年輪解析による気候変動と長期の撹乱の空間パターンの研究 原登志彦(北大・低温研)
Studies on climate change and long-term spatial pattern of disturbances by dendrochronology Toshihiko Hara(Hokkaido Univ.)

[W31-3]
撹乱の時空間ダイナミクスの格子モデル解析 ロッシュフェリックス拓磨(早稲田大・人間科学)
Lattice model analyses on spatio-temporal dynamics of disturbance in the forest Felix T. Roesch(Waseda Univ.)

[W31-4]
撹乱サイズ分布と個体群ダイナミクス 中河嘉明(滋賀大・DS)
Disturbance size distribution and plant population dynamics Yoshiaki Nakagawa(Siga Univ .)


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