| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


一般講演(口頭発表) I01-07  (Oral presentation)

エゾアカガエル幼生は密度が高いときに外来ヒキガエル孵化胚の毒性効果を強く受ける
In the high-density situation, native predatory tadpoles receive the stronger toxic effect of alien toad hatchlings

*辻野夢久(北大・院・環境), 高井孝太郎(北大・北方圏FSC), 岸田治(北大・北方圏FSC)
*Muku TSUJINO(Hokkaido University), Kotaro TAKAI(Hokkaido Univ.), Osamu KISHIDA(Hokkaido Univ.)

普通、エサ種は捕食者の成長や生存、繁殖に正の効果を与える。しかし中には有毒で負の効果を与えるエサ種もいる。特に外来の有毒エサ種は、抵抗性を進化させていない在来の捕食者種に対して致死的な効果を与えるなど、大きな影響をもちうる。エサ種が与えるそれらの効果の大きさは条件依存的であり、例えば、捕食者の密度に応じて変化する。一般に、捕食者が限られた資源を分け合うとき、捕食者が高密度になるほど捕食者1個体あたりがエサを摂取する確率や量は小さくなるため、捕食者1個体あたりが受けるエサの効果は小さい。しかし群れで採餌を行う動物などはその限りではなく、密度の増加によってむしろエサを摂取する確率や量が大きくなる場合がある。このように個体レベルでの捕食機会が増えることで、高密度にも拘らず捕食者1個体あたりが受けるエサ種の効果が大きい場合がある。これまで、そのようなエサ種の効果の正の密度依存性は、いわゆる普通のエサ種(捕食者の適応度成分に正の効果を与えるエサ)で調べられてきた。もし致死的な毒性効果を発揮する外来の有毒エサ種と在来の捕食者種との関係において、捕食効率が捕食者種の密度に伴って上がる場合、捕食者種は高密度であるほうが毒の効果を強く受け、より多くの個体が死ぬことになる。本研究では、国内外来種であり有毒なアズマヒキガエルとその孵化胚を捕食するエゾアカガエル幼生を対象に、この仮説を検証した。アズマヒキガエル孵化胚が一定数いる状況においてエゾアカガエル幼生の密度を操作した実験を、水槽と野外池に設置した囲い網を用いて行った結果、どちらの実験においてもエゾアカガエル幼生は低密度よりも高密度のほうが死亡率が高いことが確かめられた。この結果は、「エゾアカガエル幼生の密度」が、野外の池において、エゾアカガエル幼生がアズマヒキガエルから受ける影響の大小を決める要因の一つになっていることを示唆している。


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